着床不全検査
体外受精を行い、良好胚を繰り返し移植しても妊娠に至らない場合、子宮内環境の異常が着床(受精卵、胚が子宮内膜と接着すること)を妨げている可能性があります。各検査にて異常が認められた場合には適切な治療を行うことで、着床しやすくなると考えられています。
当院では、他院にて移植予定の患者様にも検査ができるように対応しております。
体外受精治療中の方に限らず、希望する検査がありましたら、遠慮なくご相談ください。
ビタミンD検査
血液検査にて体内のビタミンDの値を測ります。
ある報告では、血液中のビタミンDを十分に補充しているグループでは着床率、妊娠率、出生率すべてにおいて、欠乏しているグループより高くなっていました。子宮内膜にはビタミンDに関係する酵素と受容体が認められており、胚の着床にはビタミンDが関係していると考えられています。さらに、ビタミンDを補充することにより、流産率の低下も期待できると考えられています。
検査にてビタミンDの低下を認めた場合は、必要な量のサプリメント内服を推奨いたします。
慢性子宮内膜炎検査(BCE)
この検査は、内膜の基底層にある組織を採取してCD138という特殊な免疫染色を行って、内膜組織内の形質細胞の有無を確認します、陽性と判断された場合は、抗生剤を投与して治療します。組織の採取は、痛みを伴う場合がありますので、鎮痛剤を事前にお使いいただけます。ご希望の方には麻酔下にて検査も行えますのでご相談ください。
検査結果は2週間後になります。
子宮鏡検査
子宮内に細いファイバースコープ(カメラ)を挿入し、子宮粘膜ポリープ、粘膜下子宮筋腫などの着床の妨げになる病変がないかどうかを確認する検査です。
ほとんどの方で検査中の痛みはありません。検査後当日に結果をご説明します。
銅・亜鉛検査
銅と亜鉛は血液中のミネラルとして知られていますが、銅が多い場合には着床を妨げる可能性があります。また、この銅を体内から排出する役割をしているのが亜鉛です。
体内の銅濃度が高く、亜鉛濃度が低いと妊娠率が低下したとの報告もあります。その他に、銅を体外にうまく排出できない疾患の方が不妊症や不育症である率が高く、その方に亜鉛サプリメントを内服してもらったところ、血中の亜鉛が増え、銅が減り妊娠出産に至ったという報告もあります。採血により血中濃度を調べることで値を評価し、その値に必要な亜鉛サプリメント内服を推奨しております。検査結果は1週間後になります。
子宮収縮検査(エコー動画)
子宮内膜は動きます。月経中の子宮内膜は月経血の排出のために動き、排卵期には、精子と卵子を受精させるために受け入れる様に動きます。着床期には動きが止まり受精卵を待っている状態と考えています。着床期に超音波検査を行い、子宮の収縮の有無を確認します。
検査結果は1週間後になります。
子宮内膜受容能検査(ERPeak℠)
子宮内膜は胚の着床をいつでも受け入れるわけではありません。その胚を受け入れる時期は「着床の窓(WOI: Window of Implantation)」と呼ばれています。着床の窓が開いている時期でないと胚を受け入れないと考えられています。
着床の窓がずれている場合は着床が起こらないので、着床の窓が開いている時期に合わせて胚移植を行う必要があります。
ERPeak℠ は子宮内膜受容能検査と言われており、着床の窓が開いている時期を調べる検査となります。子宮内膜の組織を採取してNGS(次世代シーケンサー)にて解析します。反復着床不全の30%の方が着床の窓がずれているといわれています。
実際に胚移植を行う時と同じホルモン補充周期にてスケジュールを開始し、胚を移植する時期(通常黄体ホルモン開始後5日後)に子宮内膜生検(子宮内膜を採取)を行います。
採取時の痛みは軽度ですが、子宮の形や向きなどによっては痛みを伴う場合もございますので、鎮痛剤を事前にお渡しします。検査結果は4週間ほどかかります。